ヴィクトル・ユゴー 死刑囚最後の日 LE DERNIER JOUR D’UN CONDAMNE ユゴー・ヴィクトル Hugo Victor 豊島与志雄訳 一 ビセートルにて 死刑囚! もう五週間のあいだ、私はその考えと一緒に住み、いつもそれと二人きりでおり、いつもその面前に凍《こご》えあがり、いつもその重みの下に背を屈めている。 昔は、というのもこのいく週かがいく年... 2019.06.03 ヴィクトル・ユゴー
ヴィクトル・ユゴー レ・ミゼラブル LES MISERABLES 第五部 ジャン・ヴァルジャン ビクトル・ユーゴー Victor Hugo —–豊島与志雄訳 第五部 第一編 市街戦 一 サン・タントアーヌとタンプルとの両|防寨《ぼうさい》 社会の病根を観察する者がまずあげ得る最も顕著な二つの防寨は、本書の事件と同時代のものではない。その二つの防寨は、異なった二つの局面においていずれも... 2019.06.03 ヴィクトル・ユゴー
ヴィクトル・ユゴー レ・ミゼラブル LES MISERABLES 第四部 叙情詩と叙事詩 プリューメ街の恋歌とサン・ドゥニ街の戦歌 ビクトル・ユーゴー Victor Hugo ——豊島与志雄訳 第四部 第一編 歴史の数ページ 一 善《よ》き截断《さいだん》 一八三一年と一八三二年とは、七月革命に直接関係ある年で、史上最も特殊な最も驚くべき時期の一つである。この二年は、その前後の時期の間にあたかも二つの山のごとくそ... 2019.06.02 ヴィクトル・ユゴー
ヴィクトル・ユゴー レ・ミゼラブル LES MISERABLES 第三部 マリユス ビクトル・ユーゴー Victor Hugo ——-豊島与志雄訳 第三部 マリユス 第一編 パリーの微分子 一 小人間 パリーは一つの子供を持ち、森は一つの小鳥を持っている。その小鳥を雀《すずめ》と言い、その子供を浮浪少年と言う。 パリーと少年、一つは坩堝《るつぼ》であり一つは曙《あけぼの... 2019.05.30 ヴィクトル・ユゴー
ヴィクトル・ユゴー レ・ミゼラブル LES MISERABLES 第二部 コゼット ビクトル・ユーゴー Victor Hugo ——豊島与志雄訳 第二部 コゼット 第一編 ワーテルロー 一 ニヴェルから来る道にあるもの 一八六一年五月のある麗しい朝、一人の旅人、すなわちこの物語の著者は、ニヴェルからやってきてラ・ユルプの方へ向かっていた。彼は徒歩で、両側に並み木の並んでる石畳... 2019.05.21 ヴィクトル・ユゴー
ヴィクトル・ユゴー レ・ミゼラブル LES MISERABLES 第一部 ファンティーヌ ビクトル・ユーゴー Victor Hugo ——豊島与志雄訳 第一部 ファンティーヌ 第一編 正しき人 一 ミリエル氏 一八一五年に、シャール・フランソア・ビヤンヴニュ・ミリエル氏はディーニュの司教であった。七十五歳ばかりの老人で、一八〇六年以来、ディーニュの司教職についていたのである。... 2019.05.21 ヴィクトル・ユゴー
ヴィクトル・ユゴー レ・ミゼラブル LES MISERABLES 改訳について ———- 豊島与志雄 「レ・ミゼラブル」の翻訳を私が仕上げたのは、ずいぶん以前のことである。年少|菲才《ひさい》の身をもって事にあたったので、意に満たぬ点が多々あった。しかるに今度改訂の機会を得て、旧稿に手を入れてみた。 翻訳の仕事の難事であることは言うまでも... 2019.05.21 ヴィクトル・ユゴー
ヴィクトル・ユゴー レ・ミゼラブル LES MISERABLES 序—– 豊島与志雄 一七八九年七月バスティーユ牢獄の破壊にその端緒を開いたフランス大革命は、有史以来人類のなした最も大きな歩みの一つであった。その叫喊《きょうかん》は生まれいずる者の産声《うぶごえ》であり、その恐怖は新しき太陽に対する眩惑《げんわく》であり、そ... 2019.05.21 ヴィクトル・ユゴー