ゴーゴリ

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ディカーニカ近郷夜話 後篇 VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 怖ろしき復讐 TRASHNAYA MESTI ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳

03      一 キエフの街はづれで、わいわいと騒々しい物音が聞えてゐる。それは哥薩克の大尉、ゴロベーツィが、息子の婚礼の祝宴を張つてゐるのであつた。大尉の邸へは夥しい来客が詰めかけてゐた。昔は何かといへば鱈腹つめこんだものだ。鱈腹つめこ...
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ディカーニカ近郷夜話後篇VECHERA NA HUTORE BLIZ IKANIKI 降誕祭の前夜 NOCHI PERED RODJESTVOM ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳

02 降誕祭まへの最後の日が暮れた。冬の、よく澄みわたつた夜が来た。星はキラキラと、輝やきはじめ、月は、善男善女が楽しく★讚仰歌《カリャードカ》を流しまはつて基督を頌《たた》へることの出来るやうに、あまねく下界を照らすため、勿体らしく中空へ...
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ディカーニカ近郷夜話 後篇 VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI はしがき ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳

01 さていよいよ二冊目の本を御覧に入れる、いや二冊目といふよりは寧ろ最後の本といつた方がよい! ありやうは、これも公《おほやけ》にするのは全く不本意なことなんで。実際、もういい加減に身の程を知つてもいい頃ぢや。実を言へば、そろそろ村でも、...