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アンデルセン

野のはくちょう        DE VILDE SVANER  ハンス・クリスティアン・アンデルセン       Hans Christian Andersen 楠山正雄訳

ここからは、はるかな国、冬がくるとつばめがとんで行くとおい国に、ひとりの王さまがありました。王さまには十一人のむすこと、エリーザというむすめがありました。十一人の男のきょうだいたちは、みんな王子で、胸に星のしるしをつけ、腰に剣をつるして、学...
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雪の女王 SNEDRONNINGEN 七つのお話でできているおとぎ物語 ハンス・クリスティアン・アンデルセン       Hans Christian Andersen 楠山正雄訳

第一のお話   鏡とそのかけらのこと[  さあ、きいていらっしゃい。はじめますよ。このお話をおしまいまできくと、だんだんなにかがはっきりしてきて、つまり、それがわるい魔法使《まほうつかい》のお話であったことがわかるのです。この魔法使というの...
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赤いくつ DE RODE SKO ハンス・クリスティアン・アンデルセン       Hans Christian Andersen 楠山正雄訳

あるところに、ちいさい女の子がいました。その子はとてもきれいなかわいらしい子でしたけれども、貧乏だったので、夏のうちははだしであるかなければならず、冬はあつぼったい木のくつをはきました。ですから、その女の子のかわいらしい足の甲《こう》は、す...
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人魚のひいさま       DEN LILLE HAVFRUE ハンス・クリスティアン・アンデルセン       Hans Christian Andersen 楠山正雄訳

はるか、沖合へでてみますと、海の水は、およそうつくしいやぐるまぎくの花びらのように青くて、あくまですきとおったガラスのように澄みきっています。でも、そこは、ふかいのなんのといって、どんなにながく綱《つな》をおろしても底にとどかないというくら...
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小夜啼鳥 NATTERGALEN ハンス・クリスティアン・アンデルセン       Hans Christian Andersen 楠山正雄訳

みなさん、よくごぞんじのように、シナでは、皇帝はシナ人で、またそのおそばづかえのひとたちも、シナ人です。  さて、このお話は、だいぶ昔のことなのですがそれだけに、たれもわすれてしまわないうち、きいておくねうちもあろうというものです。  とこ...
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幸福のうわおいぐつ  LYKKENS KALOSKER ハンス・クリスティアン・アンデルセン       Hans Christian Andersen 楠山正雄訳

一 お話のはじまり  コペンハーゲンで、そこの東通の、王立新市場からとおくない一軒の家は、たいそうおおぜいのお客でにぎわっていました。人と人とのおつきあいでは、ときおりこちらからお客をしておけば、そのうち、こちらもお客によばれるといったもの...
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もみの木 ANTRAEET  ハンス・スティアン・アンデルセン      Hans Christian Andersen 楠山正雄訳

まちそとの森《もり》に、いっぽん、とてもかわいらしい、もみの木がありました。そのもみの木は、いいところにはえていて、日あたりはよく、風とおしも十分《じゅうぶん》で、ちかくには、おなかまの大きなもみの木や、はりもみの木が、ぐるりを、とりまいて...
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ひこうかばん        DEN FLYVENDE KOFFERT ハンス・クリスティアン・アンデルセン       Hans Christian Andersen 楠山正雄訳

むかし、あるとき、お金持のあきんどがありました。どのくらいお金持だといって、それは町の大通のこらず銀貨で道をこしらえて、そのうえ横町の小路《こうじ》にまでそれをしきつめて、それでもまだあまるほどの[#「ほどの」は底本では「ほのど」]お金を持...
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しっかり者のすずの兵隊 DEN STANDHAFTIGE TINSOLDAT ハンス・クリスティアン・アンデルセン Hans Christian Andersen 楠山正雄訳

あるとき、二十五人すずの兵隊がありました。二十五人そろってきょうだいでした。なぜならみんなおなじ一本の古いすずのさじからうまれたからです。みんな銃剣をかついで、まっすぐにまえをにらめていました。みんな赤と青の、それはすばらしい軍服を着ていま...