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ゴーゴリ

外套 ニコライ・ゴーゴリ —–平井肇訳

ある省のある局に……しかし何局とはっきり言わないほうがいいだろう。おしなべて官房とか連隊とか事務局とか、一口にいえば、あらゆる役人階級ほど怒りっぽいものはないからである。今日では総じて自分一個が侮辱されても、なんぞやその社会全体が侮辱されで...
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ディカーニカ近郷夜話 前篇 VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 紛失した国書(×××寺の役僧が語つた実話) PROPAVSHAYA GRAMOTA ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli —-平井肇訳

06  ぢやあ、もつとわしの祖父の話を聴かせろと仰つしやるんで?――よろしいとも、お伽になることなら、なんの、否むどころではありませんよ。ああ、何ごとも昔のこと、昔のこと! 遠い遠い、年代や月日のほども聢とはわかりかねる大昔にこの世にあつた...
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ディカーにか近郷や輪 前編 VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 五月の夜(または水死女) MAISKAYA NOCHI, ILI UTOPLENNITSA ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳

05    とんとどうも分らない! 堅気な基督教徒が何かを手に入れようとして、まるで猟犬が兎を追つかけるやうに、あくせくとして骨を折つても、どうしても旨くゆかないやうな場合に、そこへ悪魔めが荷担して、奴がちよつと尻尾を一つ振らうものなら、も...
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ディカーニカ近郷夜話 前篇 VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI イワン・クパーラの前夜(×××寺の役僧が話した事実譚) VECHER NAKANUNE IVANA KUPALA ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli —–平井肇訳

04  フォマ・グリゴーリエ ヰッチには一種奇妙な癖があつた。あの人はおなじ話を二度と繰りかへすのが死ぬほど嫌ひだつた。どんなことでも、もう一度はなして貰ひたいなどと言はうものなら、きまつて、何か新事実をつけ足すか、でなければ、まるで似ても...
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ディカーニカ近郷夜話 前篇 VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI ソロチンツイの定期市 SOROCHINSKAYA YARMARKA ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli—- 平井肇訳

03  家のなかにゐるのは退屈だ。  ああ、誰か外へつれだしてお呉れ  娘つ子があそび戯れ  若い衆がうろつきまはる  賑かな賑かなところへと!            ――古伝説より――      一 小露西亜の夏の日の夢心地と、その絢爛《...
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ディカーニカ近郷夜話 前篇 VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI はしがき ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli—— 平井肇訳

02『まつたくこれは奇態な本だ、『ディカーニカ近郷夜話』か? いつたい 『夜話 』とはなんだらう? 何処かの蜜蜂飼かなんかがこんなものを世間へ発行《だ》しをつて! お蔭さまなことだよ! 羽根ペンを拵らへるのにどれだけ鵞鳥を裸かにし、紙を漉く...
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ディカーニカ近郷夜話 後篇 VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 呪禁のかかつた土地(×××寺の役僧から聞いた実話) ZAKOLDOVANNOE MESTO ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli —-平井肇訳

05  いや、まつたく、もう話には倦きてしまつた! あなた方はどうお考へかしらんが、ほんとにうんざりしてしまふ。あとからあとから話せ話せで、捉まつたが最後、とんと、逃げ出すことも出来はせぬ。ぢや、まあ、お話をするが、もう金輪際、これがほんと...
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ディカーニカ近郷夜話 後篇 VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI イワン・ョードロヰッチ・シュポーニカとその叔母     IVAN FEODOROVITCH SHUPONIKA I EWO YOTUSHKA ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli —平井肇訳

04 これは、ガデャーチからよくやつて来たステパン・イワーノ ヰ ッチ・クーロチカに聞いた物語《はなし》ぢやが、これには一つの故事来歴がついてゐる。ところで、元来このわしの記憶といふやつが、何ともはやお話にならぬ代物で、聞いたも聞かぬもとん...
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ディカーニカ近郷夜話 後篇 VECHERA NA HUTORE BLIZ DIKANIKI 怖ろしき復讐 TRASHNAYA MESTI ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳

03      一 キエフの街はづれで、わいわいと騒々しい物音が聞えてゐる。それは哥薩克の大尉、ゴロベーツィが、息子の婚礼の祝宴を張つてゐるのであつた。大尉の邸へは夥しい来客が詰めかけてゐた。昔は何かといへば鱈腹つめこんだものだ。鱈腹つめこ...
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ディカーニカ近郷夜話後篇VECHERA NA HUTORE BLIZ IKANIKI 降誕祭の前夜 NOCHI PERED RODJESTVOM ニコライ・ゴーゴリ Nikolai Vasilievitch Gogoli 平井肇訳

02 降誕祭まへの最後の日が暮れた。冬の、よく澄みわたつた夜が来た。星はキラキラと、輝やきはじめ、月は、善男善女が楽しく★讚仰歌《カリャードカ》を流しまはつて基督を頌《たた》へることの出来るやうに、あまねく下界を照らすため、勿体らしく中空へ...