元調停委員からのアドバイス
皆様は裁判所と聞いただけで、関わりたくないイメージがあると思いますが、家事調停は、裁判とは違い、当事者双方が話し合いをする場であり、それがたまたま裁判所というだけの事です。
しかも、当事者二人だけでは、どうしても感情的になり、話し合いがうまくいかなかったり、そもそも話ができない場合に、調停を利用する事により、調停委員が間を取り持つ形で、的確にサポートを行って打開策を見つけていくので、よりよい解決につながります。
また当事者が、顔を合わせたくない場合は、別々の部屋を取り、調停委員が移動して、それぞれの話を聞いていくこともできます。
費用も余りかからず、弁護士が付かなくても、不利にはなりません。いわば駆け込み寺的な存在でもあります。
是非、離婚問題で困っている方は、気軽にご利用頂きたいと思います。
☆家事調停とは
家事調停では離婚や相続をめぐる争いのような夫婦・親子・親族など家庭に関する紛争を扱います。
家族間の紛争という特殊性から,非公開で形式にとらわれず,当事者の合意に基づいて解決するほうが適切であると考えられています。感情的な問題が絡んだり,今後も親族としての関係が続くことなどから,家事調停では,人間関係を調整したり後見的な配慮をしながら解決を目指します。
・話合いによる解決
訴訟と異なり当事者間の話合いにより問題解決をはかります。
・公平中立な第三者の関与
調停委員会(裁判官と民間から選ばれた調停委員で構成)が公平中立な立場で双方から丁寧にお話を聞き,解決のお手伝いをします。
・簡易な手続き
申立て手続きは簡単,自分でできます。訴訟のような複雑な手続きではありません。
裁判所の受付に申立書式が用意してあります。
・非公開の手続き
公開の法廷で行う裁判と違い,非公開のためプライバシーが守られます。
・安い手数料
調停1件につき収入印紙1200円(その他郵便切手が必要です)
・確定判決と同じ効力
合意した内容を調停調書に記載します。それは確定判決と同じ効力があります。
調停で合意し調書に記載された約束(金銭や養育費の支払い)が,後日守られない場合は,調停調書に基づき強制執行手続きをとることもできます。
☆家事調停のメリット
家事調停には,次のようなメリット(利点)があります。家族・親族間の紛争ですので,人間関係を調整したり,後見的な配慮をしながら解決をします。
申立手続は簡単,自分で出来ます。
裁判所の受付には申立書が備えられており,書き方の説明も受けられます。
安い手数料。
調停1件につき収入印紙代1200円(その他,郵便切手代が必要です)。
裁判の判決と同じ効力。
双方の意思に基づく合意内容(「調停調書」にかかれた内容)は,判決と同じ効力(強制執行に繋がる)もあります。そのため相手の実行を期待できます。
相手との直接交渉はしなくてよい。
相手と同席したくなければ,調停委員が,個別に対応をします。
プライバシーが守られ,安心。
調停は非公開で,調停委員には守秘義務があるので,人に知られずにすみます。
☆家事調停の流れ
家事調停手続きの進み方をわかりやすく解説します。
・申立先(家庭裁判所)
原則として,相手方の住所のある地区を受け持つ(管轄)家庭裁判所。
(または当事者が合意した裁判所)
・用意するもの
印鑑・筆記用具・申立費用・戸籍謄本など。
言い分を整理しておく
2.調停期日
・裁判所から調停期日の呼び出しがあったときは,その日時を間違えない
必ず出席して下さい。
・指定された時間になりましたら,調停委員が控室へ迎えに参ります。
・調停期日には,裁判官と調停委員(調停委員会を構成)が,あなたの言い分 をお聞きします。1回で解決しない場合は,次回以降は関係者全員の都合に合わせて調停日時を決めます。
・調停委員会は,中立公正な立場で双方から個別にお話をお聴きします。
・双方の言い分を整理したうえで,合意に至ると「調停成立」となり「調停調 書」が作られます。
・合意に至らなかった場合は「調停不成立」となり終了します。その後は,事 案によって自動的に裁判官が審判で決めるものと,新たに訴訟手続きが必要なものがあります。
3.事後のあれこれ
・調停調書は,申請により後日郵送または受け取りに行く方法で入手します。 大切に保管して下さい。
・調停調書の内容を忠実に実行します。
■相手方として,調停を申立てられたら?
上記2番から3番の手順と同じです。
家庭裁判所から通知を受けたら,記載された調停の日時に裁判所へお越し下さい。
家事調停制度について(1) 自己紹介を兼ねて
最初から長々と難しい内容になってしまいました。
自己紹介の方が後先になってしまい申し訳ありませんでした。
私は現役リタイア後12年間にわたり家庭裁判所の家事調停委員として500件以上の事件(一般の人が聞いたら事件とは何ぞや?と思われるかもしれませんが裁判所に申し立てられた案件はすべて事件として取り扱われます。一般の人は案件だと思って聞いてください。)を取り扱い、7割前後の解決をしてまいりました。
長い歴史のある家事調停を広く世間の皆様に知って頂きたくて、このようにブログで発信をしています。
皆様ご存知のように個人でも簡単に申し立てることができ、かかる費用も少なく手軽に利用できます。弁護士を付ける必要ももありません。
離婚をなさる方の9割方が協議離婚をなさいますが、結果を文書で残すとなると、公証役場に出向き、公正証書を作成する必要がありますが、費用もそれなりにかかりますし、相手方がその内容を守らなければ、結局は調停を申し立てることになります。
離婚調停は訴訟ではありません。裁判所で行われますがあくまでも話し合いであり、裁判所には強制力もありませんが、調停委員や裁判官、あるいは家庭裁判所の調査官といった職種の人たちが、いろいろと当事者の意見や主張を聞いてくれ、当事者双方が納得できる解決方法を見つけるためにいろいろとサポートをしてくれます。
調停が成立すれば双方の合意を盛り込んだ、調停条項をもとに調停調書が作成されます。これは当事者双方が話し合いの結果合意に至ったもので、この場合調停は成立で終了しますが、この調停調書は判決と同じ効力を持つことになります。ですので公正証書に勝るとも劣らない効力があるという事になります。
しかも相手方が決まったことを、守らなければ家庭裁判所の担当書記官に、電話をしていただければ、1~2回程度は、相手方と連絡を取り実行するように、履行勧告といったものもをしてくれます。それでも実行してくれない時には、地方裁判所に強制執行を申し立てることができます。
このようにいたれりつくせりの対応をしてくれるにも関わらず、裁判所と聞いただけで、敬遠される方がほとんどだと思われます。特に申し立てられた相手方は、裁判所に呼びつけられたと、誤解して反発される方も中にはおられますが、調停委員の方から調停の仕組みを説明すると、納得される方がほとんどです。
調停はあくまでも裁判所を利用してお互いの気持ちを伝えあい、話し合う場所だと思ってください。お二人で話し合うとどうしても感情的になり、落ち着いて話せない場合でも、調停委員や調査官が中に入って、アドバイスをしながら解決策を探っていく場所ですので、相手方もよい機会を与えてもらったと思ってもらえると思います。
調停は大体、月に1回ペースで話し合いが解決(成立)するまで、または解決は無理だと判断(不成立)されるまで続けられます。
不成立の場合は離婚の場合は、解決をしたい方が訴訟を提起する事になりますが、その他のケースの場合はほとんど自動的に審判に移行し、裁判官が証拠に基づき決定します。
協議離婚で中途半端な話し合いで別れてしまい、あとで後悔される方もたくさんいらっしゃると思います。
ここまで簡単に調停の仕組みや流れを概観してきましたが、こどもがおられる方は、それなりに子供の事を第一に考えた対応が必要になりますし、その他もろもろの話し合いが必要になってきます。
離婚調停と一言に云っても、それぞれ千差万別で、ケースバイケースの対応が求められます。
次回からは具体的に、各項目ごとに内容を分かりやすくお伝えしていきたいと思います。
家事調停制度について(2) 初めに

これをご覧になられた皆様は、いきなり家事調停制度という言葉に面食らわれたかもしれませんが、この制度は大正11年に,民間から選任された調停委員と裁判 官が調停委員会というチームを作って紛争を話合いにより解決する仕組みとして 調停制度が設けられました。
訴訟制度のも とでは,夫婦,親子などが原告,被告として法廷で対立し黒白を争わなければ ならず,家庭の平和と健全な親族共同生活の維持を図るについて支障があるか ら,これらの紛争を理想的に解決するためには裁判官に民間有識者を加えた機 関が訴訟の形式によらないで,親族間の情誼に適合するように紛争を解決する ことが望ましい。と説明されています。
このように家事審判所がスタートしましたが,翌昭和24年には,非行少年 の事件も一緒に取り扱う家庭に関する総合的な裁判所として,地方裁判所と同格の家庭裁判所が創設されました。
そして,家庭の紛争を扱う家事調停につい ては,多数の民間の有識者の方々を調停委員として家庭裁判所に迎え入れ,事件ごとに男女1名ずつの調停委員と1名の裁判官をメンバーとする調停委員会 が設けられ,この調停委員会が個々の事件の紛争解決を担うようになり,調停 委員の方々が熱心に事件に取組み,紛争の適切な解決のために力を尽くしてき ました。
家事調停においては,そのため,様々な事情を双方の当事者からお聞きしたり, 裁判所として調査したりしながら,その具体的事情にあった解決策を探り,話合いを進めていくことになります。このうちの職権的な仕組みが採用されており,紛争の事情を調査するための専門職として家裁調査官が置かれており,人間関係のもつれや紛争のいきさつなどを丁寧に 調査して,調停における話合いの参考としています。
そして,家庭に関する具体的な事情を安心して主張し,述べることができるよ うに,調停の手続は非公開とされ,事件の記録についても閲覧謄写等は家庭裁判 所の許可が必要とされており,プライバシーの保護について最大限の配慮がされています。
全国の家庭裁判所には戦後間もなくの頃から多数の家庭紛争の調停事件が持ち 込まれ,最近では年間10万件を超える多数の事件が申し立てられていますが, 50パーセント強の事件で話合いが成立して円満に解決しています。
新しい家事事件手続 このようにして家事調停は,多くの家庭紛争の解決に力を発揮してきましたが, 制度ができてから60年余りが経過して,時代の変化に伴って,紛争の内容も変化すると共に,当事者の意識も大きく変化してまいりました。
特に,戦後の新憲 法の精神が浸透して,国民全体の権利意識が高まってきたことを反映して,家事 調停の当事者の姿勢にも変化が見られるようになりました。例えば,夫婦の関係 の問題についても,従来は,調停を申し立てる人も,どちらかというと,夫婦の 不和が生じているので夫婦の間を調整してほしいという考えから,徐々に,初めから離婚を求めるといって,申立人が明確な気持を表明する事件が増え,それに伴って,自分 の権利を主張する当事者が増えてまいりました。
このような調停事件においては, それぞれが自分の意見を明確に述べ,相手の主張についても反論するという対応 となり,例えば,離婚をするとして子どもの親権者を父,母のいずれにするかに ついても,これまでのそれぞれの子育てへの姿勢や協力の実情を具体的に取り上 げて,親権者として自分が適切であると主張する事件が多くなりました。
調停は,本来和やかに話し合って解決策を見いだすのが目的ですが,このよう な当事者の意識の変化を受けて,お互いの主張をきちんと出し合って,事情について争いがある場合は家裁調査官の調査などを行って,調停委員会として事実関 係について確定してから解決策を考えるという手続が必要となってきました。
家庭を巡る紛争は,離婚もそうですが,お互いが納得の上で解決することが大 変重要です。特に,子どもがいる場合は,離婚をしても,父親であること母親であることには変わりはないわけで,子どもにとっては,それぞれの親と円満な関 係が保たれることが健やかな成長のために大変重要で,父親と母親が離婚をする にしても,冷静に円満に話合いを成立させることが何よりも大切であると思いま す。
家庭裁判所としても,このような要請に応えて,より多くの紛争の円満な解決 が図られるように図っていくことと思いますが,私も裁判所のOBの一人として,難しい紛争はもちろんですが,家庭の紛争の初期の段階のものでも,広く家庭紛争の円満な解決のために家事調停がこれまで以上に大きな役割を 果たしていくことを期待したいと思います。
次回からは個別案件事に具多的にお話をしていきます。

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