ロラン ジャン・クリストフ JEAN-CHRISTOPHE 第四巻 反抗 ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 序 ジャン・クリストフの多少激越なる批評的性格は、相次いで各派の読者に、しばしばその気色を寄せしむるの恐れあることと思うから、予はその物語の新たなる局面に入るに当たって、予が諸友およびジャン・クリストフの諸友に願うが、吾人の批判を決定的のも... 2019.06.11 ロラン
ロラン ジャン・クリストフ JEAN CHRISTOPHE 第三巻 青年 ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 一 オイレル家 家は沈黙のうちに沈んでいた。父の死去以来すべてが死んでるかと思われた。メルキオルの騒々しい声が消えてしまった今では、朝から晩まで聞こえるものはただ、河の退屈な囁《ささや》きばかりであった。 クリストフは執拗《しつよう》に仕... 2019.06.11 ロラン
ロラン ジャン・クリストフ JEAN CHRISTOPHE 第二巻 朝 ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 一 ジャン・ミシェルの死 三か年過ぎ去った。クリストフは十一歳になりかけている。彼はなおつづけて音楽の教育を受けている。フロリアン・ホルツェルについて和声《ハーモニー》を学んでいる。これはサン・マルタンのオルガニストで、祖父の友人であったが... 2019.06.11 ロラン
ロラン ジャン・クリストフ JEAN CHRISTOPHE 第一巻 曙 ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 いずれの国の人たるを問わず、苦しみ、闘い、ついには勝つべき、あらゆる自由なる魂に、捧《ささ》ぐ。 ロマン・ローラン 昼告ぐる曙《あけぼの》の色ほのかにて、 汝《な》が魂は身内に眠れる時…… ... 2019.06.10 ロラン
ロラン ジャン・クリストフ JEAN CHRISTOPHE 改訳について ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 「ジャン・クリストフ」は、初めカイエ・ド・ラ・キャンゼーヌ中の十七冊として発表され、次で十冊の書物として刊行されていたが、一九二一年に、改訂版四冊として再刊された。そのさい作者は、この長編の全部にわたって、至るところに多少|改竄《かいざん》... 2019.06.10 ロラン
ロラン ジャン・クリストフ JEAN-CHRISTOPHE 第十巻 新しき日 ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 序 予は将《まさ》に消え失《う》せんとする一世代の悲劇を書いた。予は少しも隠そうとはしなかった、その悪徳と美徳とを、その重苦しい悲哀を、その漠《ばく》とした高慢を、その勇壮な努力を、また超人間的事業の重圧の下にあるその憂苦を。その双肩の荷は... 2019.06.10 ロラン
ロラン ジャン・クリストフ JEAN-CHRISTOPHE 第九巻 燃ゆる荊 ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 われは堅き金剛石《ダイヤ》 金槌《つち》にも鑿《のみ》にも 打ち砕かれじ。 打て、打て、打ちみよ われは死なじ。死してはまた生き 屍灰《はい》より生まるる 不死鳥のわれ。 殺せ、殺してみよ、 われは死なじ。 ――バイーフ―― 一 心... 2019.06.09 ロラン
ロラン ジャン・クリストフ JEAN-CHRISTOPHE 第八巻 女友達 ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 著者とその影との対話 予 まさしく乗るか反《そ》るかの仕事だね、クリストフ。お前は俺《おれ》を全世界と喧嘩《けんか》させるつもりだったのか。 クリストフ まあ驚いた様子をするな。最初からお前は、どこへ俺が連れてゆくかを知ってたはずだ。 予 ... 2019.06.09 ロラン
ロラン ジャン・クリストフ JEAN-CHRISTOPHE 第五巻 広場の市 ロマン・ローラン Romain Rolland 豊島与志雄訳 著者とその影との対話 予 まさしく乗るか反《そ》るかの仕事だね、クリストフ。お前は俺《おれ》を全世界と喧嘩《けんか》させるつもりだったのか。 クリストフ まあ驚いた様子をするな。最初からお前は、どこへ俺が連れてゆくかを知ってたはずだ。 予 ... 2019.06.08 ロラン
リルケ 老人 GREISE ライネル・マリア・リルケ Rainer Maria Rilke 森林太郎訳 ペエテル・ニコラスは七十五になつて、いろんな事を忘れてしまつた。昔の悲しかつた事や嬉しかつた事、それから週、月、年と云ふやうなものはもう知らない。只日と云ふもの丈はぼんやり知つてゐる。目は弱つてゐる。又日にまし弱つて行く。それで日の入りがぼ... 2019.06.08 リルケ