ベートーヴェンをいっそうよく識ろうと志すならば、以下の概要的な表に挙げられているところの主要な著述や記録によって考究することができるであろう。
ベートーヴェンの書簡に関する文献
Ludwig Nohl.――Briefe Beethoven, 1865, Stuttgart. ルートヴィッヒ・ノール編『ベートーヴェン書簡集』(一八六五年)
Ludwig Nohl.――Neue Briefe Beethoven, 1867, Stuttgart. ルートヴィッヒ・ノール編『続ベートーヴェン書簡集』(一八六七年)
Ludwig Ritter von Koechel.――83 Originalbriefe L. v. Beethovens an den Erzherzog Rudolf, 1865, Wien. ルートヴィッヒ・リッター・フォン・ケッヒェル編『ルードルフ大公に宛てたベートーヴェンの書簡原文八十三通』(一八六五年)
〔Alfred Schoene.――Briefe von Beethoven an Marie Gra:fin Erdo:dy, geborene Gra:fin Niszky und Mag. Brauchle, 1866, Leipzig.〕 アルフレット・シェーネ編『エルデーディー伯夫人マリー宛ベートーヴェン書簡集』(一八六六年)
Theodor von Frimmel.――Neue Beethoveniana, 1886. テオドール・フォン・フリンメル『続ベートーヴェン研究資料』(一八八六年)
Katalog der mit der Beethoven-Feier zu Bonn, an 11.-15. Mai 1890 verbundenen Ausstellung von Handschriften, Briefen, Bildnissen, Reliquien Ludwig van Beethovens, 1890, Bonn. 目録《カタログ》――一八九〇年五月十一日より同十五日までボン市に催されたベートーヴェン記念祭におけるベートーヴェンの手記・書簡・肖像・遺物の展覧会カタログ。(一八九〇年ボン市発行)
〔La Mara.――Musikerbriefe aus fu:nf Jahrhunderten, 1892, Leipzig.〕 ラ・マーラ『五世紀間の音楽家たちの書簡集』(一八九二年)
Dr. A. Christian Kalischer.――Neue Beethoven-Briefe, 1902, Berlin und Leipzig. A・クリスチァン・カリシャー博士編『新ベートーヴェン書簡集』(一九〇二年)
〔Dr. A. Christian Kalischer.――Beethovens sa:mtliche Briefe, Kritische Ausgabe mit Erla:uterungen, 1906-1908, fu:nf Ba:nde, Leipzig und Berlin.〕 A・クリスチァン・カリシャー博士編『ベートーヴェン書簡全集』(一九〇六年―一九〇八年、全五巻。注釈付・考証版)
〔Dr. Fritz Prelinger.――Beethovens sa:mtliche Briefe und Aufzeichnungen, 1907, Wien und Leipzig, 3 Ba:nde.〕 フリッツ・プレーリンガー編『ベートーヴェンの書簡および手記全集』(一九〇七年、三巻)
フランス語訳――Jean Chantavoine ジャン・シャンタヴォワーヌの序文および注を付してベートーヴェン書簡選集 Choix des lettres de Beethoven が一九〇四年にパリで出版された。
英語訳 ――Beethoven’s Letters. A critical edition with explanatory notes translated from Kalishcer by J. S. Shedlock. 2 vol. (London, 1909)
ベートーヴェンに関する伝記的文献
Gottfried Fischer――『手稿』(これはなかんずくベートーヴェンの子供の頃について興味深い。一八六四年にボンで歿したフィッシャーはベートーヴェンの家族が二代つづけて住んだ家の家主であった。彼とその妹のツェツィーリェは子供の頃のベートーヴェンをよく識っていた、そして二人はその追憶を書き留めたのであるが、この追憶は、人が幾らかの批評眼をもって取り扱うかぎりにおいては貴重なものである。)――この原稿はボンのベートーヴェン・ハウス〔訳者――ベートーヴェンの生家であり、現在は博物館〕にある。ダイタースが(次頁参照)その抜萃を出版した。
〔F. G. Wegeler und Ferdinand Ries.――Biographische Notizen u:ber Ludwig van Beethoven, 1838, Koblenz.〕 (1905, Dr. Kalischer により改版)ヴェーゲラーおよびリース共著――『ベートーヴェンに関する伝記的覚え書』特にベートーヴェンの前半生について重要。仏訳は一八六二年に出て現在は絶版。
Ludwig Nohl.――Eine stille Liebe zu Beethoven, 1857, Berlin. ルートヴィッヒ・ノール――『ベートーヴェンに寄せる秘やかな愛』(一八一六年頃ベートーヴェンを識り、彼に愛情を寄せた Fanny Giannatasio del Rio の日記を出版したもの)
Anton Schindler.――Beethovens Biographie, 1840. アントン・シンドラー――『ベートーヴェンの伝記』後半生。(一八四〇年。仏訳一八六六年版、現在は絶版)
〔Anton Schindler.――Beethoven in Paris, 1842, Mu:nster.〕 アントン・シンドラー――『パリーにおけるベートーヴェン』(一八四二年)
Gerhard von Breuning.――Aus dem Schwarzspanierhause, 1874. ゲルハルト・フォン・ブロイニング――『シュヴァルツシュパニエルハウスより』(シュヴァルツシュパニエルハウスはベートーヴェンがそこで歿した家――ヴィーン市――のこと。一九〇三年の冬に取り払われた)
Moscheles.――The Life of Beethoven, 2 vol. 1841, London. モーシェレス――『ベートーヴェンの生涯』二巻(一八四一年)
〔Alexander Wheelock Thayer――Ludwig van Beethovens Leben. 5 Ba:nde, 1908.〕 アレクサンダー・ホィーロック・セイヤー――『ベートーヴェンの生涯』五巻(一九〇八年)
ヘルマン・ダイタースによって英語からドイツ語に訳され、ダイタースの歿後フーゴー・リーマンがその仕事を継続した。
セイヤーの著述は一八六六年に始められて、一八九七年トリエステにおける著者の死によって中絶した。著者はトリエステ駐在の米国領事であった。セイヤーの仕事は一八一六年のところまで進んで停止した。ダイタースはこの伝記を完成しようと企てたが、彼もまた、第二巻の出版をまたずして一九〇七年に逝った。リーマン氏は、ダイタースの遺した資料によってついに全伝を完成したのである。――数多いベートーヴェンに関する著作の中でこれは最も重要なものである。
〔Ludwig Nohl.――Beethovens Leben, 1864-1877, 4 Ba:nde.〕 ルートヴィッヒ・ノール――『ベートーヴェンの生涯』四巻(一八六四年―一八七七年)
Ludwig Nohl.――Beethoven nach den Schilderungen seiner Zeitgenossen, Stuttgart. ルートヴィッヒ・ノール――『同時代者たちの叙述に拠るベートーヴェン』
〔A. B. Marx.――L. van Beethovens Leben und Schaffen, 1863, 2 Ba:nde. Fu:nfte verbesserte Auflage, von G. Behncke, 1902. Berlin.〕 A・B・マルクス――『ベートーヴェンの生涯と創作』二巻(一八六三年、改版一九〇二年)
〔Victor Wilder.――Beethoven, sa vie et son oe&uvre, 1883.〕 ヴィクトル・ウィルデ――『ベートーヴェン、その生涯と作品』(一八八三年)
Mariam Tenger.――Beethovens unsterbliche Geliebte, 1890. マリアム・テンガー――『ベートーヴェンの不滅の愛人』(一八九〇年)
この書の史実的価値はしばしば問題となった。マリアム・テンガーはテレーゼの生涯の最後の数年間に彼女の親しい話し対手であった。年老いたテレーゼが自分の思い出を識らず知らずのうちに理想化していたに相違ないということは、ありそうなことである。しかし話の基本は正確なものだと思われる。
A. Ehrhard.――Franz Grillparzer, 1900. エールハルト――『フランツ・グリルパルツァー』(一九〇〇年)
〔Theodor von Frimmel.――Ludwig van Beethoven. (in der Sammlung “Beru:hmte Musiker”), 1901, Berlin.〕 テオドール・フォン・フリンメル――『ベートーヴェン』(一九〇一年)
Jean Chantavoine.――Beethoven, 1907. ジャン・シャンタヴォワーヌ――『ベートーヴェン』(一九〇七年)
〔Dr. Alfred Chr. Kalischer.――Beethoven und seine Zeitgenossen.――Beitra:ge zur Geschichte des Ku:nstlers und Menschen, 4 Ba:nde, 1910.〕 アルフレット・クリスチァン・カリシャー博士――『ベートーヴェンとその同時代者たち』四巻(一九一〇年)
ベートーヴェンと親しかった男女の友人たち全部に関するきわめて興味のある記録収集である。この貴重な参考資料の庫は、ベートーヴェンの心理を観るための新しい観点を提供するところがある。
ベートーヴェンの作品に関する文献
〔Beethoven.――Sa:mtliche Werke. Breitkopf & Ha:rtel, Leipzig, in 25 Serien, 39 Ba:nden.〕 ベートーヴェン――『作品全集』ライプチッヒ・ブライトコップ フ ・ウント・ヘルテル出版所、二十五|組《セリー》、三十九巻。
Gustav Nottebohm.――Thematisches Verzeichnis der im Druck erschienenen Werke von Ludwig van Beethoven, 1868, Leipzig. グスターフ・ノッテボーム――『ベートーヴェンの、出版されている作品の主題《テーマ》索引目録』(一八六八年)
G. Nottebohm.――Ein Skizzenbuch von Beethoven aus dem Jahre 1803, 1880. ノッテボーム――『一八〇三年のベートーヴェンの草案帳』(一八八〇年)
A. W. Thayer.――Chronologisches Verzeichnis der Werke von Beethoven, 1865, Berlin. セイヤー――『ベートーヴェンの作品の年代順目録』(一八六五年)
G. Nottebohm.――Beethoveniana―Zweite Beethoveniana, 1872-1887. ノッテボーム――『ベートーヴェン資料――続ベートーヴェン資料』(一八七二年―一八八七年)
George Grove.――Beethoven and his nine Symphonies, 1896, London. ジョージ・グローヴ――『ベートーヴェンと、その九つの交響曲』(一八九六年)
J. G. Prod’homme.]――Les Symphonies de Beethoven, 1906. プロードム――『ベートーヴェンの交響曲』(一九〇六年)
Alfred Colombani.――Le Nove Sinfonie di Beethoven, 1897, Turin. アルフレット・コロンバーニ――『ベートーヴェンの九つの交響曲』(一八九七年)
〔Ernst von Elterlein.――Beethovens Klaviersonaten, Fu:nfte Auflage, 1895.〕 エルンスト・フォン・エルターライン『ベートーヴェンのピアノ奏鳴曲』(第五版・一八九五年)
〔Willibald Nagel.――Beethoven und seine Klaviersonaten, 2 Ba:nde, 1903-1905.〕 ヴィリバルト・ナーゲル――『ベートーヴェンと、そのピアノ奏鳴曲』二巻(一九〇三年―一九〇五年)
Ch. Czerny.――Pianoforte-Shule (4 Teil, Kapitel II, III). ツェルニー――『ピアノ教則本』(第四部・第二および第三章)
Shedlock.――The pianoforte sonata, 1900, London. シェドロック――『ピアノ奏鳴曲』(一九〇〇年)
Theodor Helm.――Beethovens Streichquartette, 1885. テオドール・ヘルム――『ベートーヴェンの弦楽四重奏曲』(一八八五年)
〔H. de Curzon.――Les lieder et airs de’tache’s de Beethoven, 1906.〕 ド・キュルゾン――『ベートーヴェンの歌曲および歌謡集抜萃』(一九〇六年)
Otto Jahn.――Leonore, Klavierauszug mit Text, nach der zweiten Bearbeitung, 1852. オットー・ヤーン――『レオノーレ・第二回改作によるテクスト付ピアノ抜萃曲』(一八五二年)
Dr. Erich Prieger.――Fidelio, Klavierauszug mit Text, nach der ersten Bearbeitung, 1906. エーリッヒ・プリーガー博士――『フィデリオ・第一回改作によるテクスト付ピアノ抜萃曲』(一九〇六年)
Wilhelm Weber.――Beethovens Missa Solemnis, 1897. ヴィルヘルム・ヴェーバー――『ベートーヴェンの「荘厳な弥撒曲」』(一八九七年)
〔Prof. Dr. Richard Sternfeld.――Zur Einfu:hrung in L. v. Beethovens Missa Solemnis.〕 教授リヒアルト・シュテルンフェルト博士――『ベートーヴェンの「荘厳な弥撒曲」への手引』
Ignaz von Seyfried.――L. v. Beethovens Studien im Generalbass, Kontrapunkt, und in der Kompositions Lehre, 1832. イグナッツ・フォン・ザイフリート――『全低音と対位法と作曲法とのベーートーヴェンの習作』(一八三二年)
〔W. de Lenz.――Beethoven et ses trois styles. (Analyses des sonates de piano) (e’puise’) 1854.〕 ド・ランツ――『ベートーヴェンと彼の三つの様式』(ピアノ奏鳴曲の分析)(絶版)(一八五四年)
Oulibicheff.――Beethoven, ses critiques et ses glossateurs, 1857. ウリビシェフ――『ベートーヴェン、彼の作品の批判家たちおよび解説者たち』(一八五七年)
〔Wasielewski.――Beethoven, 2 Ba:nde, 1886, Berlin.〕 ヴァジーレフスキー――『ベートーヴェン』二巻(一八八六年)
〔Robert Schumann.――Schriften u:ber Musik und Musiker, I Teil. (Ecrits sur la musique et les musiciens, premie`re serie, traduction H. de Curzon, 1894.)〕 ロベルト・シューマン――『音楽および音楽家たちについての評論』第一部(一八九四年)
Richard Wagner.――Beethoven, 1870, Leipzig. リヒアルト・ヴァーグナー――『ベートーヴェン』(一八七〇年)
Vinsent d’Indy.――Beethoven, 1911, Paris. ヴァンサン・ダンディー――『ベートーヴェン』(一九一一年)
ベートーヴェンの音楽天才の次第に形成して行く初期の発展経路を研究しようとする人にとっては、ルスト Friedrich Wilhelm Rust (1739-1796, Dessau) の音楽作品を識ることが有益である。彼の孫の一人がルスト作曲の若干の奏鳴曲を刊行したためにルストの作品は近頃再び注目されるようになった。ルストの末子ヴィルヘルム・カルルは一八〇七年から一八二七年までヴィーンに住んでベートーヴェンと交遊があった。ルストとカルル・フィリップ・エマヌエル・バッハと、そしてマンハイム楽派の交響楽作者たちとが作曲上ベートーヴェンの真の先駆者であった。――フーゴー・リーマンの『ベートーヴェンとマンハイム楽派の人々』参照。(Die Musik, 1907-1908 所掲)
また、ネーフェ Neefe (1748-1799) の作曲した歌曲を識ることも興味深い――この歌曲は早くもまったくベートーヴェン的である。それからまたフランス革命時代の作曲家たち、特にケルビーニは、彼の宗教的な作曲と劇的な作曲との或るものが持つ様式において、ベートーヴェンのため時折り模範として役立った。
同時代人の制作によるベートーヴェンの肖像
一七八九年――影絵《シルエット》、十八歳のベートーヴェン。(ボン市ベートーヴェン・ハウス所蔵。フリンメルの伝記第十六頁に複製あり)
一七九一年―九二年――ベートーヴェン像の細画《ミニアチュール》。ゲルハルト・フォン・キューゲルゲン作。(ロンドン、ゲオルク・ヘンシェル所蔵。一八九二年十二月十五日の Musical Times 第八頁に複製さる)
一八〇一年――素描、G・シュタインハウザー作、これによるヨーハン・ナイドルの銅版画がある。(複製はフェリックス・クレマン 〔Fe’lix Cle’ment〕 著 〔Les Musiciens ce’le`bres, 1879〕 の第二百六十七頁およびフリンメルの伝記の第二十八頁にあり)
一八〇二年――銅版画、シュタインハウザーの素描スケッチによるシェッフナーの作。(ボン市ベートーヴェン・ハウス所蔵。複製は Die Musik 一九〇二年三月十五日号、千百四十五頁にあり)
一八〇二年――細画《ミニアチュール》、クリスチァン・ホルネマン作。(ヴィーン、フォン・ブロイニング夫人所蔵。フリンメルの伝記第三十一頁に複製あり)
一八〇五年――肖像画、W・J・メーラー作。(ヴィーンのローバート・ハイムラー蔵。複製は Musical Times 一八九二年十二月号の第七頁、フリンメル著の第三十四頁)
一八〇八年――素描、シュノル・フォン・カロルスフェルト作。J・バウアーによるこれの石版画あり。(ボン市ベートーヴェン・ハウス所蔵)
一八一二年――マスク、彫刻家フランツ・クライン採型。
一八一二年――上記マスクより製作せる胸像、フランツ・クライン作。(ヴィーン、ピアノ製造者E・シュトライヒャー所蔵。複製はフリンメル第四十六頁、および Musical Times 一八九二年十二月号第十九頁)
一八一四年――素描、ルトロンヌ作。それによるプラジウス・ヘーフェル作の銅版画。(ベートーヴェン肖像中の最もみごとなものである。ボン市ベートーヴェン・ハウス所蔵のものはベートーヴェンが友ヴェーゲラーに贈った一枚である。複製はフリンメルの第五十一頁。および前出の Musical Times 第二十一頁)
一八一五年――ルトロンヌの素描によるリーデル作の銅版画。(複製は前出の Die Musik 第千百四十七頁)
一八一五年――メーラーによる第二作の肖像画。(フライブルクのイグナッツ・フォン・グライヒェンシュタイン所蔵。複製はボン市のベートーヴェン・ハウスにあり)
一八一五年――肖像画、クリスチァン・ヘッケル作。(マンハイムのJ・F・ヘッケル所蔵。複製はボンのベートーヴェン・ハウスにあり)
一八一八年――素描スケッチによる銅版画、アウグスト・フォン・クレーバー作。(Musical Times 第二十五頁に複製あり)――クレーバーの素描原作はボン市エーリッヒ・プリーガー博士のコレクションの中にある。
一八一九年――肖像画、フィルディナント・シモン作。(ボン市ベートーヴェン・ハウス所蔵。複製は Die Musik 千百四十九頁、およびフリンメル第六十三頁、および Musical Times 二十九頁)
一八一九年――肖像画、ヨーゼフ・シュティーラー作。(ベルリンのアレクサンダー・マイヤー・コーン所蔵。フリンメル第七十一頁に複製あり)
一八二一年――胸像、アントン・ディートリッヒ作。(レオポルト・シュレッター・フォン・クリステリ所蔵。ボン市ベートーヴェン・ハウスに複製あり)
一八二三年――素描戯画(散歩するベートーヴェン)ヴァン・ベーム作。(複製、フリンメルの第七十頁)
一八二三年――肖像画、ヴァルトミュラー作。(ライプチッヒ、ブライトコップ フ ・ウント・ヘルテル出版所所蔵。複製はフリンメルの第七十二頁)
一八二四年―二六年――素描戯画(散歩するベートーヴェン)J・P・リーザー作。(原画は、ヴィーン市「音楽の友の会」Gesellschaft der Musikfreunde 所蔵。複製はフリンメル第六十七頁、および Musical Times 第十五頁)
一八二五年―二六年――素描、シュテファン・デッカー作。(ヴィーンのゲオルク・デッカー所蔵。ボンのベートーヴェン・ハウスに複製あり)
一八二六年――古代人ふうの胸像、シャラー作。(ロンドンのフィルハーモニック・ソサイエティー所蔵。ボンのベートーヴェン・ハウスに塑像複製あり。複製写真はフリンメルの第七十四頁、および Musical Times に掲載さる)
一八二七年――臨終の床に横たわれるベートーヴェン素描写生、ヨーゼフ・ダンハウザー作。(ヴィーンのA・アルターリア所蔵。複製は一九〇一年四月十九日の Allgemeine Musik-Zeitung に掲載さる)
一八二七年――臨終の床に横たわれるベートーヴェンの素描写生三つ。テルチャー作。(アウグスト・ハイマン博士所蔵。フリンメルにより公表せらる。複製は一九〇九年十一月十五日付 Courier musical 紙上所載)
一八二七年――ベートーヴェンの死面《デスマスク》、ダンハウザー採型。(ボン市ベートーヴェン・ハウス所蔵)
ベートーヴェンの死後、多くの肖像が作られた。ライツマン著『ベートーヴェン』の中にそれらの肖像が多数複製せられている。
文献・追加
ロマン・ロランの『ベートーヴェン』――「復活の歌」(一九三八年三月版)の中に挙げられている文献。説明文はロランの原文からの抄訳である。〔訳者〕
〔Gustav Nottebohm: Zwei Skizzenbu:cher von Beethoven aus den Jahren 1801 bis 1803, neue Ausgabe mit Vorwort von Paul Mies, 1924, Leipzig, Breitkopf.〕 グスターフ・ノッテボーム――『一八〇一年から一八〇三年までのベートーヴェンの二冊の草案帳』(パウル・ミースの序文を付した一九二四年の新版)
Gustav Nottebohm: Thematisches Verzeichnis der im Druck erschienenen Werke von Ludwig van Beethoven, zweite vermehrte Auflage, 1868, Leipzig, Breitkopf. グスターフ・ノッテボーム――『ベートーヴェンの、出版されている作品の主題《テーマ》索引目録』(増補された第二版、一八六八年)
〔Walther Nohl: Beethovens Konversationshefte, erster Halbband, 1929, Allgemeine Verlagsanstalt, Mu:nchen.〕 ヴァルター・ノール――『ベートーヴェンの筆談手帳』(前半、一九二二年。後半は現在までにまだ出版されていない)
Manuscript Fischhoff(フィッシュホフ筆写のベートーヴェンの「日記」)と、書簡選と、ベートーヴェンの友人および訪問者の回想や談話を集めた記録的な優秀な提要書は――
〔Albert Leitzmann: Ludwig van Beethoven, Berichte der Zeitgenossen, Briefe und perso:nliche Aufzeichnungen.―2 Ba:nde, Insel-Verlag, Leipzig, 1921.〕 アルバート・ライツマン――『ルートヴィッヒ・ヴァン・ベートーヴェン』(彼の同時代者たちの記録的叙述、およびベートーヴェンの書簡と手記。――二巻、一九二一年)
〔Theodor Frimmel: Beethoven-Handbuch.―2 Ba:nde, Leipzig, Breitkopf, 1926.〕 テオドール・フリンメル――『ベートーヴェン綱要辞典』(一九二六年)
〔Heinrich Schenker: Erla:uterungs-Ausgabe der letzten fu:nf Sonaten.――Wien, Universal-Edition.〕 ハインリッヒ・シェンカー――『最後の五つのピアノ奏鳴曲《ソナータ》の注釈付楽譜』(作品第百一番、第百九番、第百十番、第百十一番は既刊。第百六番は未刊)
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これはベートーヴェンのピアノの譜を読む人々や解釈する人々のための重要な出版である。
最近のベートーヴェンに関する研究書のうち――
August Halm: Beethoven, 1927, Max Hesses Verlag, Berlin. アウグスト・ハルム著『ベートーヴェン』(一九二七年)
〔Walther Riezler: Beethoven, 1936, Atlantis Verlag, Berlin-Zu:rich.〕 ヴァルター・リーツラー著『ベートーヴェン』(一九三六年)
前者は独創性のある著述であり、後者ははなはだみごとな研究書である。
Paul Mies: Die Bedeutung der Skizzen Beethovens zur Erkenntnis seines Stiles, 1925, Leipzig, Breitkopf. パウル・ミース著『ベートーヴェンの様式理解に資するための、彼の草案の意義解釈』(一九二五年)
〔Hans Bo:ttcher: Beethoven als Liederkomponist, 1928, Augsburg, Dr. Benno Filser Verlag.〕 ハンス・ベッチャー著『歌謡《リーダー》作曲家としてのベートーヴェン』(一九二八年)
この二著は比較的限られた題目についての、模範的な音楽研究的著作である。〔後者は学位論文――訳者〕
フランス語で書かれた文献の中では――
〔Vincent d’Indy: Cours de Composition, re’dige’ avec la collaboration de Auguste Se’rieyx, d’apre`s des notes prises aux classes de composition de la Schola Cantorum, en 1899-1900, Paris, Durand et Fils, 1909.〕 ヴァンサン・ダンディー『作曲法講義』(一八九九年から一九〇〇年までパリ・スコラ・カントルムにおける作曲科の講義筆記によって、オーギュスト・セリユーとの協力において編纂。一九〇九年版)
J. G. Prod’homme: La Jeunesse de Beethoven, 1921, Paris, Payot. プロードム著『ベートーヴェンの少年時代および青年時代』(一九二一年)
J. G. Prod’homme: Les Sonates pour piano de Beethoven, 1937, Paris, Delagrave. プロードム著『ベートーヴェンのピアノ奏鳴曲《ソナータ》』(一九三七年)
〔Emmanuel Buenzod: Pouvoirs de Beethoven, 1936, Paris, e’d. Corre’a.〕 エマニュエル・ビュアンゾー著『ベートーヴェンの感化力』(一九三六年)
この小著は精妙な直観力と鑑識力との一模範である。
〔Atlantis-Verlag (Berlin-Zu:rich)〕 は一九三七年にベートーヴェンの筆蹟のみごとな複製集を出版した。それには 〔Georg Schu:nemann〕 ゲオルク・シューネマンの注目すべき論文が付いている。これらの筆蹟の複製の幾多のものは初めて発表されたものである。
底本:「ベートーヴェンの生涯」岩波文庫、岩波書店
1938(昭和13)年11月15日第1刷発行
1965(昭和40)年4月16日第17刷改版発行
2010(平成22)年4月21日第77刷改版発行
入力:門田裕志
校正:仙酔ゑびす
2012年4月15日作成
青空文庫作成ファイル:
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